JR脱線 立証へ高いハードル 「市民感覚」過剰制裁の危険性も(産経新聞)

 「可能な限りの安全対策を取ることは市民感覚としても当然のことである」

 JR福知山線の脱線事故について、歴代3社長も起訴すべきだと議決した神戸第1検察審査会は、議決理由でこう言い切った。

 改正検察審査会法に基づき、昨年5月の裁判員制度導入と同時に大幅に権限強化された検審。東京では政治資金規正法違反事件に絡み、鳩山由紀夫首相や民主党の小沢一郎幹事長が審査対象となるなど、社会的に注目を集めることも多くなった。今回の起訴議決は「国民の常識や視点を反映する」という当初の狙いが機能し始めていることを示した。

 検審の起訴議決第1号となった明石歩道橋事故をめぐる議決では、「検察官の基本的立場は被疑者が有罪か無罪かという点にある。しかし、審査会の立場は、市民感覚の視点から、裁判で事実関係や責任の所在を明らかにすることを望む点に置く」と、刑事裁判の位置づけを変えることを“宣言”した。

 ただ、「市民感覚」の名のもとで、公開の裁判にかけてしまうことは、過剰な社会的制裁を与えることにつながりかねないという危険性も秘めている。

 とりわけ、今回の事件の時効は4月30日。議決理由にも「議決時期が時効完成後になることは絶対に回避する必要があると考えた」とある。今後、「判断は拙速ではなかったか」との見方も出そうだ。

 確かに、100人以上の乗客が犠牲になった結果の重大性や、被害者救済という観点からは、「起訴」という判断は国民感覚に近いものがある。

 しかし、法律家の視点では業務上過失致死傷罪成立へのハードルは低くない。神戸地検幹部は昨年12月、検察審査会に「事実を誤解している可能性がある」と言及している。

 「市民感覚」と「法律家の感覚」を、どう折り合いをつけていくか。今回の起訴判断は、捜査も含めた刑事手続きを根本から変えてしまう可能性もあり、公判過程と裁判所の判決が注目される。(酒井潤)

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